中谷 宇吉郎
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雪の結晶の研究で世界に知られる中谷宇吉郎の文章から、若者に読みやすいものを選んだエッセイ集。当時の北海道大学の低温室での研究の様子、科学者のロマンについて、読みやすい文章で科学研究の楽しさが語られており、理系の人だけでなく文系の人にもおすすめ。
★★★
中谷 宇吉郎
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「この本は雪の結晶について私が北海道で行った研究の過程およびその結果をなるべくわかりやすく書いたものである。...ただ、自然の色々な現象について正当な理解を持ちたいと思っておられる人々に、すこしでも自然現象に対する興味を喚起する機縁になれば有難いと思って書いたものである。」このまえがきの通り、雪と人間生活、雪の研究の歴史、雪の種類、雪の生成過程、雪を作る実験について、専門的な内容や科学する心を、やさしい言葉で書いてある。彼の研究の恩恵を私たちは今も受けているのだろう。
「少数の学者の研究が如何に進んでも、その研究が一般の人に普及されなければその真価を発揮したことにはならぬ。また研究というものは多くの人に諒解され、利用されて、人々の注意が集って更に新しい段階に入ることができるのである。今日我国において最も緊急なことは、何事をするにも、正しい科学的精神と態度をもって為すことが必要であるということであろう。」
「凡ての事象を自分自身の眼によって見ようとする願望、これがあれば必ずしも専門的の知識や素養がなくともよいのである。しかし、このように自然現象を自分の眼で見る人には、やがてその科学的説明を求める気持ちが出てくるだろう。」
この本を読むと、科学研究がどのように模索されてきたのかがわかる。雪を研究対象としない人でも、科学を学びたい人には是非読んで欲しい一冊。雪に関心が高い人なら、この本をきっかけに、知識欲がかきたてられるだろう。
★★★★中谷宇吉郎 - Wikipedia
中谷宇吉郎雪の科学館(石川県加賀市)
<雪研究の歴史>BC150年 韓嬰 「韓詩外傳曰凡草木花多五出雪花獨六出」(「太平御覧」の記述)
1250年 アルベルタス・マグヌス 雪についての最古?の記述
1555年 オラウス・マグヌス 最古の雪華図
1611年 ケプラー 「新年の贈り物あるいは六角形の雪の結晶について」
1637年 デカルト 最古の六花の雪華図
1665年 フック "Micrographia" 雪結晶の顕微鏡観察図
1681年 ロセッティ 雪結晶の分類
1796年 司馬江漢 「天球全図」 雪結晶の顕微鏡観察図
1820年 スコレスビー "An acount of the Arteic Regions" 雪結晶の分類
1832年 土井利位 「雪華図説」「続雪華図説」観察法、雪の生成過程、雪の効用
1837年 鈴木牧之 「北越雪譜」雪に関する見聞録
1855年 グレイシャー 精密な雪結晶の顕微鏡観察図
1894年 ノイハウス、シグソン 雪結晶の顕微鏡写真
1931年 Bentley "Snow Crystals" 芸術的な雪結晶の顕微鏡写真集
1936年 中谷宇吉郎 人工雪結晶実験に成功
1938年 中谷宇吉郎 「雪」
1946年 シェファー、ラングミュア 人工降雨実験に成功
1949年 中谷宇吉郎 「雪の研究」雪結晶の生成過程
1951年 花島政人、中谷宇吉郎 「ナカヤダイアグラム」
1954年 中谷宇吉郎 "Snow Crystal, natural and artificial"
1961年 メイソン、小林禎作 「小林ダイアグラム」
1962年 孫野長治 天然の雲で雪結晶を観測
1983年 宇宙での雪結晶生成実験
1988年 福田矩彦 上昇気流での人工雪結晶に成功
樋口敬二
Kenneth G. Libbrecht 雪結晶のカラー写真
古川義純 宇宙での氷結晶実験
平松和彦 ペットボトルでの氷結晶実験
<参考>
第134回常設展示 | 雪-冬に咲く華- | 国立国会図書館今日も星日和: 雪の結晶を観察した人たち(その1)ダイジェストTags:
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★:★★★★]
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テーマ:雪]
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所蔵:愛知県図書館]
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所蔵:南山大学図書館]